平成十七年法律第五十号
刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律
第二編 被収容者等の処遇
第一章 処遇の原則
(受刑者の処遇の原則)
第三十条 受刑者の処遇は、その者の年齢、資質及び環境に応じ、その自覚に訴え、改善更生の意欲の喚起及び社会生活に適応する能力の育成を図ることを旨として行うものとする。
(未決拘禁者の処遇の原則)
第三十一条 未決拘禁者の処遇に当たっては、未決の者としての地位を考慮し、その逃走及び罪証の隠滅の防止並びにその防御権の尊重に特に留意しなければならない。
(死刑確定者の処遇の原則)
第三十二条 死刑確定者の処遇に当たっては、その者が心情の安定を得られるようにすることに留意するものとする。
2 死刑確定者に対しては、必要に応じ、民間の篤志家の協力を求め、その心情の安定に資すると認められる助言、講話その他の措置を執るものとする。
第二章 刑事施設における被収容者の処遇
第一節 収容の開始
(収容開始時の告知)
第三十三条 刑事施設の長は、被収容者に対し、その刑事施設における収容の開始に際し、被収容者としての地位に応じ、次に掲げる事項を告知しなければならない。その刑事施設に収容されている被収容者がその地位を異にするに至ったときも、同様とする。
一 物品の貸与及び支給並びに自弁に関する事項
二 第四十八条第一項に規定する保管私物その他の金品の取扱いに関する事項
三 保健衛生及び医療に関する事項
四 宗教上の行為、儀式行事及び教誨(かい)に関する事項
五 書籍等(書籍、雑誌、新聞紙その他の文書図画(信書を除く。)をいう。以下同じ。)の閲覧に関する事項
六 第七十四条第一項に規定する遵守事項
七 面会及び信書の発受に関する事項
八 懲罰に関する事項
九 審査の申請を行うことができる措置、審査の申請をすべき行政庁及び審査の申請期間その他の審査の申請に関する事項
十 第百六十三条第一項の規定による申告を行うことができる行為、申告先及び申告期間その他の同項の規定による申告に関する事項
十一 苦情の申出に関する事項
2 前項の規定による告知は、法務省令で定めるところにより、書面で行う。
(識別のための身体検査)
第三十四条 刑務官は、被収容者について、その刑事施設における収容の開始に際し、その者の識別のため必要な限度で、その身体を検査することができる。その後必要が生じたときも、同様とする。
2 女子の被収容者について前項の規定により検査を行う場合には、女子の刑務官がこれを行わなければならない。ただし、女子の刑務官がその検査を行うことができない場合には、男子の刑務官が刑事施設の長の指名する女子の職員を指揮して、これを行うことができる。
第二節 処遇の態様
(未決拘禁者の処遇の態様)
第三十五条 未決拘禁者(刑事施設に収容されているものに限る。以下この章において同じ。)の処遇(運動、入浴又は面会の場合その他の法務省令で定める場合における処遇を除く。次条第一項及び第三十七条第一項において同じ。)は、居室外において行うことが適当と認める場合を除き、昼夜、居室において行う。
▶規則11条(法第三十五条第一項に規定する法務省令で定める場合)
第十一条 法第三十五条第一項に規定する法務省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
一 運動、入浴又は面会の場合
二 健康診断又は診療の場合
三 前二号に掲げる場合のほか、居室において行うことが困難な処遇を行う場合
2 未決拘禁者(死刑確定者としての地位を有するものを除く。)の居室は、罪証の隠滅の防止上支障を生ずるおそれがある場合には、単独室とし、それ以外の場合にあっても、処遇上共同室に収容することが適当と認める場合を除き、できる限り、単独室とする。
3 未決拘禁者は、罪証の隠滅の防止上支障を生ずるおそれがある場合には、居室外においても相互に接触させてはならない。
(死刑確定者の処遇の態様)
第三十六条 死刑確定者の処遇は、居室外において行うことが適当と認める場合を除き、昼夜、居室において行う。
2 死刑確定者の居室は、単独室とする。
3 死刑確定者は、居室外においても、第三十二条第一項に定める処遇の原則に照らして有益と認められる場合を除き、相互に接触させてはならない。
(各種被収容者の処遇の態様)
第三十七条 各種被収容者(刑事施設に収容されているものに限る。以下この章において同じ。)の処遇は、居室外において行うことが適当と認める場合を除き、昼夜、居室において行う。
2 各種被収容者の居室は、処遇上共同室に収容することが適当と認める場合を除き、できる限り、単独室とする。
第三節 起居動作の時間帯等
(起居動作の時間帯等)
第三十八条 刑事施設の長は、法務省令で定めるところにより、次に掲げる時間帯を定め、これを被収容者に告知するものとする。
一 食事、就寝その他の起居動作をすべき時間帯
▶規則12条1項
第十二条 法第三十八条第一号に掲げる時間帯は、次の各号に規定する時間帯について次に掲げる基準に従い定めるほか、居室に在室していることを確認するための点検の時間帯について定めるものとする。
一 食事の時間帯は、朝食については午前六時三十分から午前八時三十分までの間で、昼食については午前十一時から午後一時までの間で、夕食については午後四時から午後七時までの間で定めること。
二 就寝の時間帯は、午後九時から翌日の午前八時までの間で、連続する八時間以上の時間帯を定めること。
三 運動の時間帯は、午前七時から午後五時までの間で定めること。ただし、居室内において運動を行う機会を与えるときは、午前七時から午後七時までの間で定めることができる。
四 入浴の時間帯は、午前七時から午後九時までの間で定めること。
二 受刑者(刑事施設に収容されているものに限る。以下この章において同じ。)については、第八十七条第一項に規定する矯正処遇等の時間帯及び余暇に充てられるべき時間帯
▶規則12条2項
2 法第三十八条第二号に掲げる時間帯は、次に掲げる基準に従い定めるものとする。
一 矯正処遇等の時間帯は、午前七時から午後七時までの間で定め、矯正処遇等を行う時間が六時間を超えるときは、その途中に、二十分以上の休憩の時間帯を定めること。
二 余暇に充てられるべき時間帯(以下「余暇時間帯」という。)は、矯正処遇等を行う日においては、二時間以上の時間帯を定めること。
(余暇活動の援助等)
第三十九条 刑事施設の長は、被収容者に対し、刑事施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障を生ずるおそれがない限り、余暇時間帯等(受刑者にあっては余暇に充てられるべき時間帯をいい、その他の被収容者にあっては食事、就寝その他の起居動作をすべき時間帯以外の時間帯をいう。次項において同じ。)において自己契約作業(その者が刑事施設の外部の者との請負契約により行う物品の製作その他の作業をいう。以下同じ。)を行うことを許すものとする。
2 刑事施設の長は、法務省令で定めるところにより、被収容者に対し、自己契約作業、知的、教育的及び娯楽的活動、運動競技その他の余暇時間帯等における活動について、援助を与えるものとする。
▶規則13条1項
第十三条 法第三十九条第二項の規定による援助は、次項に定めるところによるほか、運動競技その他の複数の被収容者が共同で参加することができる活動の企画、刑事施設に備え付けた書籍等、運動器具、遊具その他の物品の貸与その他余暇時間帯等(受刑者にあっては余暇時間帯をいい、その他の被収容者にあっては食事、就寝その他の起居動作をすべき時間帯以外の時間帯をいう。以下同じ。)における活動を行うのに必要かつ適切な措置を講ずることにより行うものとする。
第四節 物品の貸与等及び自弁
(物品の貸与等)
第四十条 被収容者には、次に掲げる物品(書籍等を除く。以下この節において同じ。)であって、刑事施設における日常生活に必要なもの(第四十二条第一項各号に掲げる物品を除く。)を貸与し、又は支給する。
一 衣類及び寝具
二 食事及び湯茶
三 日用品、筆記具その他の物品
▶「被収容者に係る物品の貸与、支給及び自弁に関する訓令」(法務省矯成訓第3339号)の別表参照
▶「食事及び湯茶」
「食料品及び飲料」(法41Ⅰ➁)のうち、人の生存に不可欠・基本的なもの(逐条解説・刑事収容施設法〔第3版〕136頁)
▶「日用品、筆記具」
筆記具以外の文房具は、本項の対象外。cf.次条1項5号「日用品、文房具」
2 被収容者には、前項に定めるもののほか、法務省令で定めるところにより、必要に応じ、室内装飾品その他の刑事施設における日常生活に用いる物品(第四十二条第一項各号に掲げる物品を除く。)を貸与し、又は嗜(し)好品(酒類を除く。以下同じ。)を支給することができる。
▶規則14条2項・3項
2 被収容者には、嗜好品は、優遇措置として支給するほか、受刑者の処遇として特別な行事を行う場合並びに国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)第二条に規定する国民の祝日、一月二日及び一月三日に限り、支給することができるものとする。
3 前二項に定めるもののほか、法第四十条第二項の規定により被収容者に貸与し、又は支給する物品の品名及びその貸与又は支給の基準は、法務大臣が定める。
(自弁の物品の使用等)
第四十一条 刑事施設の長は、受刑者が、次に掲げる物品(次条第一項各号に掲げる物品を除く。次項において同じ。)について、自弁のものを使用し、又は摂取したい旨の申出をした場合において、その者の処遇上適当と認めるときは、法務省令で定めるところにより、これを許すことができる。
一 衣類
二 食料品及び飲料
三 室内装飾品
▶規則16条2項
2 受刑者以外の被収容者には、法第四十一条第一項第三号に掲げる物品は、法務大臣が定める品名のものについて、自弁のものの使用を許すものとする。
四 嗜好品
▶規則16条3項
3 受刑者以外の被収容者には、法第四十一条第一項第四号に掲げる物品は、たばこ以外の物品について、自弁のものの摂取を許すものとする。
五 日用品、文房具その他の刑事施設における日常生活に用いる物品
▶規則16条4項
4 受刑者以外の被収容者には、法第四十一条第一項第五号に掲げる物品は、次に掲げる物品(法務大臣が定める品名のものに限る。)について、自弁のものの使用又は摂取を許すものとする。
一 タオル、石けん、洗髪剤、洗顔用具、調髪用具、サンダル、座布団、ハンガーその他の日用品
二 文房具、遊具その他の余暇時間帯等における知的、教育的及び娯楽的活動に用いる物品
三 手袋、マスクその他の身体に装着する物品(衣類を除く。)であって、受刑者以外の被収容者の健康状態その他の事情に照らして使用することが必要なもの
2 刑事施設の長は、受刑者以外の被収容者が、前項各号に掲げる物品及び寝具について自弁のものを使用し、又は摂取したい旨の申出をした場合には、刑事施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障を生ずるおそれがある場合並びに第十二節の規定により禁止される場合を除き、法務省令で定めるところにより、これを許すものとする。
(補正器具等の自弁等)
第四十二条 被収容者には、次に掲げる物品については、刑事施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障を生ずるおそれがある場合を除き、自弁のものを使用させるものとする。
一 眼鏡その他の補正器具
二 自己契約作業を行うのに必要な物品
三 信書を発するのに必要な封筒その他の物品
四 第百六条の二第一項の規定による外出又は外泊の際に使用する衣類その他の物品
五 その他法務省令で定める物品
▶規則17条
第十七条 法第四十二条第一項第五号に規定する法務省令で定める物品は、次に掲げる物品とする。
一 印紙及び印鑑
二 かつら(法第百六条の二第一項の規定により外出し、又は外泊する場合、裁判所に出頭する場合その他の刑事施設の長がかつらの着用を許すことが適当と認める場合に限る。)
2 前項各号に掲げる物品について、被収容者が自弁のものを使用することができない場合であって、必要と認めるときは、その者にこれを貸与し、又は支給するものとする。
(物品の貸与等の基準)
第四十三条 第四十条又は前条第二項の規定により貸与し、又は支給する物品は、被収容者の健康を保持するに足り、かつ、国民生活の実情等を勘案し、被収容者としての地位に照らして、適正と認められるものでなければならない。
第五節 金品の取扱い
(金品の検査)
第四十四条 刑事施設の職員は、次に掲げる金品について、検査を行うことができる。
一 被収容者が収容される際に所持する現金及び物品
二 被収容者が収容中に取得した現金及び物品(信書を除く。次号において同じ。)であって、同号に掲げる現金及び物品以外のもの(刑事施設の長から支給された物品を除く。)
三 被収容者に交付するため当該被収容者以外の者が刑事施設に持参し、又は送付した現金及び物品
(収容時の所持物品等の処分)
第四十五条 刑事施設の長は、前条第一号又は第二号に掲げる物品が次の各号のいずれかに該当するときは、被収容者に対し、その物品について、親族(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)その他相当と認める者への交付その他相当の処分を求めるものとする。
一 保管に不便なものであるとき。
二 腐敗し、又は滅失するおそれがあるものであるとき。
三 危険を生ずるおそれがあるものであるとき。
2 前項の規定により物品の処分を求めた場合において、被収容者が相当の期間内にその処分をしないときは、刑事施設の長は、これを売却してその代金を領置する。ただし、売却することができないものは、廃棄することができる。
(差入物の引取り等)
第四十六条 刑事施設の長は、第四十四条第三号に掲げる現金又は物品が次の各号のいずれかに該当するときは、その現金又は物品を持参し、又は送付した者(以下「差入人」という。)に対し、その引取りを求めるものとする。
一 被収容者に交付することにより、刑事施設の規律及び秩序を害するおそれがあるものであるとき。
二 交付の相手方が受刑者であり、かつ、差入人が親族以外の者である場合において、その受刑者に交付することにより、その矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれがあるものであるとき。
三 交付の相手方が未決拘禁者である場合において、刑事訴訟法の定めるところによりその者が交付を受けることが許されない物品であるとき。
四 差入人の氏名が明らかでないものであるとき。
五 自弁により使用し、若しくは摂取することができることとされる物品又は釈放の際に必要と認められる物品(以下「自弁物品等」という。)以外の物品であるとき。
六 前条第一項各号のいずれかに該当する物品であるとき。
2 第四十四条第三号に掲げる現金又は物品であって、前項第一号から第四号までのいずれかに該当するものについて、差入人の所在が明らかでないため同項の規定による引取りを求めることができないときは、刑事施設の長は、その旨を政令で定める方法によって公告しなければならない。
3 前項に規定する現金又は物品について、第一項の規定による引取りを求め、又は前項の規定により公告した日から起算して六月を経過する日までに差入人がその現金又は物品の引取りをしないときは、その現金又は物品は、国庫に帰属する。
4 第二項に規定する物品であって、第一項第六号に該当するものについては、刑事施設の長は、前項の期間内でも、これを売却してその代金を保管することができる。ただし、売却できないものは、廃棄することができる。
5 第四十四条第三号に掲げる現金又は物品であって、第一項第五号又は第六号に該当するもの(同項第一号から第四号までのいずれかに該当するものを除く。)について、差入人の所在が明らかでないため同項の規定による引取りを求めることができないとき、若しくはその引取りを求めることが相当でないとき、又は差入人がその引取りを拒んだときは、刑事施設の長は、被収容者に対し、親族その他相当と認める者への交付その他相当の処分を求めるものとする。
6 前条第二項の規定は、前項の規定により処分を求めた場合について準用する。
7 第四十四条第三号に掲げる現金又は物品であって、第一項各号のいずれにも該当しないものについて、被収容者がその交付を受けることを拒んだ場合には、刑事施設の長は、差入人に対し、その引取りを求めるものとする。この場合においては、第二項及び第三項の規定を準用する。
(物品の引渡し及び領置)
第四十七条 次に掲げる物品のうち、この法律の規定により被収容者が使用し、又は摂取することができるものは、被収容者に引き渡す。
一 第四十四条第一号又は第二号に掲げる物品であって、第四十五条第一項各号のいずれにも該当しないもの
二 第四十四条第三号に掲げる物品であって、前条第一項各号のいずれにも該当しないもの(被収容者が交付を受けることを拒んだ物品を除く。)
2 次に掲げる金品は、刑事施設の長が領置する。
一 前項各号に掲げる物品のうち、この法律の規定により被収容者が使用し、又は摂取することができるもの以外のもの
二 第四十四条各号に掲げる現金であって、前条第一項第一号、第二号又は第四号のいずれにも該当しないもの
(保管私物等)
第四十八条 刑事施設の長は、法務省令で定めるところにより、保管私物(被収容者が前条第一項の規定により引渡しを受けて保管する物品(第五項の規定により引渡しを受けて保管する物品を含む。)及び被収容者が受けた信書でその保管するものをいう。以下この章において同じ。)の保管方法について、刑事施設の管理運営上必要な制限をすることができる。
2 刑事施設の長は、被収容者の保管私物(法務省令で定めるものを除く。)の総量(以下この節において「保管総量」という。)が保管限度量(被収容者としての地位の別ごとに被収容者一人当たりについて保管することができる物品の量として刑事施設の長が定める量をいう。以下この節において同じ。)を超えるとき、又は被収容者について領置している物品(法務省令で定めるものを除く。)の総量(以下この節において「領置総量」という。)が領置限度量(被収容者としての地位の別ごとに被収容者一人当たりについて領置することができる物品の量として刑事施設の長が定める量をいう。以下この節において同じ。)を超えるときは、当該被収容者に対し、その超過量に相当する量の物品について、親族その他相当と認める者への交付その他相当の処分を求めることができる。腐敗し、又は滅失するおそれが生じた物品についても、同様とする。
3 第四十五条第二項の規定は、前項の規定により処分を求めた場合について準用する。
4 刑事施設の長は、被収容者が保管私物について領置することを求めた場合において、相当と認めるときは、これを領置することができる。ただし、領置総量が領置限度量を超えることとなる場合は、この限りでない。
5 刑事施設の長は、前項の規定により領置している物品について、被収容者がその引渡しを求めた場合には、これを引き渡すものとする。ただし、保管総量が保管限度量を超えることとなる場合は、この限りでない。
(領置金の使用)
第四十九条 刑事施設の長は、被収容者が、自弁物品等を購入し、又は刑事施設における日常生活上自ら負担すべき費用に充てるため、領置されている現金を使用することを申請した場合には、必要な金額の現金の使用を許すものとする。ただし、自弁物品等を購入するための現金の使用については、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
一 購入により、保管総量が保管限度量を超え、又は領置総量が領置限度量を超えることとなるとき。
二 被収容者が未決拘禁者である場合において、刑事訴訟法の定めるところにより購入する自弁物品等の交付を受けることが許されないとき。
(保管私物又は領置金品の交付)
第五十条 刑事施設の長は、被収容者が、保管私物又は領置されている金品(第百三十三条(第百三十六条、第百三十八条、第百四十一条、第百四十二条及び第百四十四条において準用する場合を含む。)に規定する文書図画に該当するものを除く。)について、他の者(当該刑事施設に収容されている者を除く。)への交付(信書の発信に該当するものを除く。)を申請した場合には、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、これを許すものとする。
一 交付(その相手方が親族であるものを除く。次号において同じ。)により、刑事施設の規律及び秩序を害するおそれがあるとき。
二 被収容者が受刑者である場合において、交付により、その矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれがあるとき。
三 被収容者が未決拘禁者である場合において、刑事訴訟法の定めるところにより交付が許されない物品であるとき。
(差入れ等に関する制限)
第五十一条 刑事施設の長は、この節に定めるもののほか、法務省令で定めるところにより、差入人による被収容者に対する金品の交付及び被収容者による自弁物品等の購入について、刑事施設の管理運営上必要な制限をすることができる。
(領置物の引渡し)
第五十二条 刑事施設の長は、被収容者の釈放の際、領置している金品をその者に引き渡すものとする。
(釈放者の遺留物)
第五十三条 釈放された被収容者の遺留物(刑事施設に遺留した金品をいう。以下この章において同じ。)は、その釈放の日から起算して六月を経過する日までに、その者からその引渡しを求める申出がなく、又はその引渡しに要する費用の提供がないときは、国庫に帰属する。
2 前項の期間内でも、刑事施設の長は、腐敗し、又は滅失するおそれが生じた遺留物は、廃棄することができる。
(逃走者等の遺留物)
第五十四条 被収容者が次の各号のいずれかに該当する場合において、当該各号に定める日から起算して六月を経過する日までに、その者から引渡しを求める申出がなく、又は引渡しに要する費用の提供がないときは、その遺留物は、国庫に帰属する。
一 逃走したとき 逃走した日
二 第八十三条第二項の規定により解放された場合において、同条第三項に規定する避難を必要とする状況がなくなった後速やかに同項に規定する場所に出頭しなかったとき 避難を必要とする状況がなくなった日
三 第九十六条第一項の規定による作業又は第百六条の二第一項の規定による外出若しくは外泊の場合において、刑事施設の長が指定した日時までに刑事施設に帰着しなかったとき その日
2 前条第二項の規定は、前項の遺留物について準用する。
(死亡者の遺留物)
第五十五条 死亡した被収容者の遺留物は、法務省令で定めるところにより、その遺族等(法務省令で定める遺族その他の者をいう。以下この章において同じ。)に対し、その申請に基づき、引き渡すものとする。
2 死亡した被収容者の遺留物がある場合において、その遺族等の所在が明らかでないため第百七十六条の規定による通知をすることができないときは、刑事施設の長は、その旨を政令で定める方法によって公告しなければならない。
3 第一項の遺留物は、第百七十六条の規定による通知をし、又は前項の規定により公告をした日から起算して六月を経過する日までに第一項の申請がないときは、国庫に帰属する。
4 第五十三条第二項の規定は、第一項の遺留物について準用する。
第六節 保健衛生及び医療
(保健衛生及び医療の原則)
第五十六条 刑事施設においては、被収容者の心身の状況を把握することに努め、被収容者の健康及び刑事施設内の衛生を保持するため、社会一般の保健衛生及び医療の水準に照らし適切な保健衛生上及び医療上の措置を講ずるものとする。
(運動)
第五十七条 被収容者には、日曜日その他法務省令で定める日を除き、できる限り戸外で、その健康を保持するため適切な運動を行う機会を与えなければならない。ただし、公判期日への出頭その他の事情により刑事施設の執務時間内にその機会を与えることができないときは、この限りでない。
▶規則24条
第二十四条 法第五十七条に規定する法務省令で定める日は、次に掲げる日とする。
一 第十九条第二項第二号及び第三号に掲げる日
二 三十分以上矯正処遇として運動を行う日であって、刑事施設の長が、一週間につき三日の範囲内で定める日
三 おおむね居室棟内において処遇を行う日であって、刑事施設の長が、一月につき四日の範囲内で定める日
2 被収容者には、一日に三十分以上、かつ、できる限り長時間、運動の機会を与えるものとする。
(被収容者の清潔義務)
第五十八条 被収容者は、身体、着衣及び所持品並びに居室その他日常使用する場所を清潔にしなければならない。
(入浴)
第五十九条 被収容者には、法務省令で定めるところにより、刑事施設における保健衛生上適切な入浴を行わせる。
▶規則25条
(入浴の回数等)
第二十五条 被収容者には、収容の開始後速やかに、及び一週間に二回以上(閉居罰(法第百五十一条第一項第五号の懲罰をいう。以下同じ。)を科されている者については、一週間に一回以上)、入浴を行わせる。
2 女子の被収容者の入浴の立会いは、女子の職員が行わなければならない。
(調髪及びひげそり)
第六十条 受刑者には、法務省令で定めるところにより、調髪及びひげそりを行わせる。
▶規則26条【受刑者】
第二十六条 男子の受刑者には、刑の執行開始後速やかに、及びおおむね一月に一回、調髪を行わせる。
2 男子の受刑者には、刑の執行開始後速やかに、及び一週間に二回以上(閉居罰を科されている者については、一週間に一回以上)、ひげそりを行わせる。
3 女子の受刑者には、必要があるときに、調髪及び顔そりを行わせる。
4 前三項の規定にかかわらず、受刑者が調髪又はひげそりを行わないことを希望する場合において、その宗教、その者が国籍を有する国における風俗慣習、釈放の時期その他の事情を考慮して相当と認めるときは、調髪又はひげそりを行わせないものとする。
5 受刑者に行わせる調髪の髪型の基準は、法務大臣が定める。
▶規則27条【受刑者以外の被収容者】
(受刑者以外の被収容者の調髪及びひげそりの回数等)
第二十七条 受刑者以外の被収容者であって男子であるものには、おおむね二月に一回以上、調髪を行うことを許すものとする。
2 受刑者以外の被収容者であって女子であるものには、おおむね三月に一回以上、調髪を行うことを許すものとする。
3 受刑者以外の被収容者であって男子であるものには、一週間に二回以上(閉居罰を科されている者については、一週間に一回以上)、ひげそりを行うことを許すものとする。
4 受刑者以外の被収容者であって女子であるものには、一月に一回以上、顔そりを行うことを許すものとする。
5 受刑者以外の被収容者の行う調髪(自弁により行うものを除く。)の髪型の基準は、法務大臣が定める。
2 刑事施設の長は、受刑者が自弁により調髪を行いたい旨の申出をした場合において、その者の処遇上適当と認めるときは、これを許すことができる。
3 刑事施設の長は、受刑者以外の被収容者が調髪又はひげそりを行いたい旨の申出をした場合には、法務省令で定めるところにより、これを許すものとする。
(健康診断)
第六十一条 刑事施設の長は、被収容者に対し、その刑事施設における収容の開始後速やかに、及び毎年一回以上定期的に、法務省令で定めるところにより、健康診断を行わなければならない。刑事施設における保健衛生上必要があるときも、同様とする。
2 被収容者は、前項の規定による健康診断を受けなければならない。この場合においては、その健康診断の実施のため必要な限度内における採血、エックス線撮影その他の医学的処置を拒むことはできない。
(診療等)
第六十二条 刑事施設の長は、被収容者が次の各号のいずれかに該当する場合には、速やかに、刑事施設の職員である医師等(医師又は歯科医師をいう。以下同じ。)による診療(栄養補給の処置を含む。以下同じ。)を行い、その他必要な医療上の措置を執るものとする。ただし、第一号に該当する場合において、その者の生命に危険が及び、又は他人にその疾病を感染させるおそれがないときは、その者の意思に反しない場合に限る。
一 負傷し、若しくは疾病にかかっているとき、又はこれらの疑いがあるとき。
二 飲食物を摂取しない場合において、その生命に危険が及ぶおそれがあるとき。
2 刑事施設の長は、前項に規定する場合において、傷病の種類又は程度等に応じ必要と認めるときは、刑事施設の職員でない医師等による診療を行うことができる。
3 刑事施設の長は、前二項の規定により診療を行う場合において、必要に応じ被収容者を刑事施設の外の病院又は診療所に通院させ、やむを得ないときは被収容者を刑事施設の外の病院又は診療所に入院させることができる。
(指名医による診療)
第六十三条 刑事施設の長は、負傷し、又は疾病にかかっている被収容者が、刑事施設の職員でない医師等を指名して、その診療を受けることを申請した場合において、傷病の種類及び程度、刑事施設に収容される前にその医師等による診療を受けていたことその他の事情に照らして、その被収容者の医療上適当であると認めるときは、刑事施設内において、自弁によりその診療を受けることを許すことができる。
2 刑事施設の長は、前項の規定による診療を受けることを許す場合において、同項の診療を行う医師等(以下この条において「指名医」という。)の診療方法を確認するため、又はその後にその被収容者に対して刑事施設において診療を行うため必要があるときは、刑事施設の職員をしてその診療に立ち会わせ、若しくはその診療に関して指名医に質問させ、又は診療録の写しその他のその診療に関する資料の提出を求めることができる。
3 指名医は、その診療に際し、刑事施設の長が法務省令で定めるところにより指示する事項を遵守しなければならない。
4 刑事施設の長は、第一項の規定による診療を受けることを許した場合において、その指名医が、第二項の規定により刑事施設の長が行う措置に従わないとき、前項の規定により刑事施設の長が指示する事項を遵守しないとき、その他その診療を継続することが不適当であるときは、これを中止し、以後、その指名医の診療を受けることを許さないことができる。
(感染症予防上の措置)
第六十四条 刑事施設の長は、刑事施設内における感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要がある場合には、被収容者に対し、第六十一条の規定による健康診断又は第六十二条の規定による診療その他必要な医療上の措置を執るほか、予防接種、当該疾病を感染させるおそれがなくなるまでの間の隔離その他法務省令で定める措置を執るものとする。
(養護のための措置等)
第六十五条 刑事施設の長は、老人、妊産婦、身体虚弱者その他の養護を必要とする被収容者について、その養護を必要とする事情に応じ、傷病者のための措置に準じた措置を執るものとする。
2 刑事施設の長は、被収容者が出産するときは、やむを得ない場合を除き、刑事施設の外の病院、診療所又は助産所に入院させるものとする。
(子の養育)
第六十六条 刑事施設の長は、女子の被収容者がその子を刑事施設内で養育したい旨の申出をした場合において、相当と認めるときは、その子が一歳に達するまで、これを許すことができる。
2 刑事施設の長は、被収容者が、前項の規定により養育され一歳に達した子について、引き続いて刑事施設内で養育したい旨の申出をした場合において、その被収容者の心身の状況に照らして、又はその子を養育する上で、特に必要があるときは、引き続き六月間に限り、これを許すことができる。
3 被収容者が前二項の規定により子を養育している場合には、その子の養育に必要な物品を貸与し、又は支給する。
4 前項に規定する場合において、被収容者が、その子の養育に必要な物品について、自弁のものを使用し、若しくは摂取し、又はその子に使用させ、若しくは摂取させたい旨の申出をした場合には、刑事施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障がない限り、これを許すものとする。
5 被収容者が第一項又は第二項の規定により養育している子については、被収容者の例により、健康診断、診療その他の必要な措置を執るものとする。
第七節 宗教上の行為等
(一人で行う宗教上の行為)
第六十七条 被収容者が一人で行う礼拝その他の宗教上の行為は、これを禁止し、又は制限してはならない。ただし、刑事施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障を生ずるおそれがある場合は、この限りでない。
(宗教上の儀式行事及び教誨)
第六十八条 刑事施設の長は、被収容者が宗教家(民間の篤志家に限る。以下この項において同じ。)の行う宗教上の儀式行事に参加し、又は宗教家の行う宗教上の教誨を受けることができる機会を設けるように努めなければならない。
2 刑事施設の長は、刑事施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障を生ずるおそれがある場合には、被収容者に前項に規定する儀式行事に参加させず、又は同項に規定する教誨を受けさせないことができる。
第八節 書籍等の閲覧
(自弁の書籍等の閲覧)
第六十九条 被収容者が自弁の書籍等を閲覧することは、この節及び第十二節の規定による場合のほか、これを禁止し、又は制限してはならない。
第七十条 刑事施設の長は、被収容者が自弁の書籍等を閲覧することにより次の各号のいずれかに該当する場合には、その閲覧を禁止することができる。
一 刑事施設の規律及び秩序を害する結果を生ずるおそれがあるとき。
二 被収容者が受刑者である場合において、その矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれがあるとき。
三 被収容者が未決拘禁者である場合において、罪証の隠滅の結果を生ずるおそれがあるとき。
2 前項の規定により閲覧を禁止すべき事由の有無を確認するため自弁の書籍等の翻訳が必要であるときは、法務省令で定めるところにより、被収容者にその費用を負担させることができる。この場合において、被収容者が負担すべき費用を負担しないときは、その閲覧を禁止する。
(新聞紙に関する制限)
第七十一条 刑事施設の長は、法務省令で定めるところにより、被収容者が取得することができる新聞紙の範囲及び取得方法について、刑事施設の管理運営上必要な制限をすることができる。
(時事の報道に接する機会の付与等)
第七十二条 刑事施設の長は、被収容者に対し、日刊新聞紙の備付け、報道番組の放送その他の方法により、できる限り、主要な時事の報道に接する機会を与えるように努めなければならない。
2 刑事施設の長は、第三十九条第二項の規定による援助の措置として、刑事施設に書籍等を備え付けるものとする。この場合において、備え付けた書籍等の閲覧の方法は、刑事施設の長が定める。





