改正条文
令和8年7月17日成立の再審法の条文は、以下のサイトからわかる。
(※現在は、まだ、e-goveも変更されていない。)
主要な部分だけ抜粋して、以下に掲載する。
1 除斥
第四百三十八条の二 裁判官は、再審の請求があつた事件について、原判決に係る被告事件についての次に掲げる裁判に関与したときは、職務の執行から除斥される。
一 第三百三十三条、第三百三十四条又は第三百三十六条の規定による判決
二 前号に掲げる判決に係る第三百九十六条の規定による判決
三 略式命令
➁ 裁判官が、再審開始の決定が確定した事件について、当該再審開始の決定に係る再審の請求についての次に掲げる決定に関与したときも、前項と同様とする。
一 第四百四十四条の二第二項(第二号に係る部分に限る。)又は第四百四十七条第一項若しくは第四百四十八条第一項の規定による決定
二 前号に掲げる決定に対する即時抗告又は第四百二十八条第二項の異議の申立てを棄却する決定(当該即時抗告又は異議の申立ての手続がその規定に違反したことのみを理由とするものを除く。)
2 再審請求の方式
第四百四十一条の二 再審の請求をするには、その理由を記載した書面を管轄裁判所に差し出さなければならない。
➁ 前項の書面には、証拠書類又は証拠物及び原判決の裁判書の謄本(裁判書が電磁的記録である場合にあつては、当該裁判書に記録されている事項の全部を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録であつてその内容が当該裁判書に記録されている事項と同一であることの証明がされたもの。以下この項において同じ。)を添えなければならない。ただし、第二百七十一条の二第一項若しくは第三百十二条の二第一項(第四百四条において準用する場合を含む。)の規定による求めがあつた場合又は第二百九十九条の四第一項、第三項、第六項若しくは第八項若しくは第二百九十九条の五第三項(これらの規定を第四百四条(第四百十四条において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定による措置がとられた場合であつて、原判決の裁判書の謄本を添えることができないときは、証拠書類又は証拠物及び原判決の裁判書の抄本(裁判書が電磁的記録である場合にあつては、当該裁判書に記録されている事項の一部を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録であつてその内容が当該裁判書に記録されている事項と同一であることの証明がされたもの)であつて、これらの求めに係る個人特定事項又はこれらの措置に係る氏名若しくは住居の記載又は記録がないものを添えれば足りる。
3 調査(いわゆるスクリーニング)
⑴ 調査手続
第四百四十四条の二 再審の請求を受けた裁判所は、遅滞なく、その請求について調査しなければならない。
➁ 前項の裁判所は、同項の規定による調査の結果に基づいて、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める決定をしなければならない。
一 次に掲げる場合 再審の請求を棄却する決定
イ 再審の請求が法令上の方式に違反したものであると認めるとき。
ロ 再審の請求が請求権の消滅後にされたものであると認めるとき。
ハ 第四百四十一条の二第一項の書面に記載された再審の請求の理由が明らかに第四百三十五条各号又は第四百三十六条第一項各号に掲げる場合に該当しないと認めるとき。
▶法制審議会の答申案では、これらに加えて、「再審の請求の理由がないことが明らかであると認めるとき。」にも棄却決定ができる条文となっていたが(諮問第129号に対する答申案6頁)、法律案提出時には、削除された(R8/5/26,221回国会衆議院本会議第20号谷川とむ発言)。
⇨ 理由がないことが明らかな再審請求であっても、調査手続の段階ではそれを理由として再審請求を棄却することはできない(平口答弁51)
二 再審の請求が理由のあるものであることが明らかであると認める場合 再審開始の決定
三 前二号に掲げる場合以外の場合 審判を開始する旨の決定(以下「審判開始の決定」という。)
⑵ 執行停止時期の明確化、死刑確定者の拘置の停止
③ 前項(第二号に係る部分に限る。)の規定による決定をしたときは、決定で刑の執行を停止することができる。
④ 前項の規定により死刑の執行を停止したときは、決定で刑法第十一条第二項の規定による拘置を停止することができる。
4 審判開始決定後
⑴ 事実の取調べの請求
第四百四十五条中「再審の請求を受けた」を「審判開始の決定をした」に、「取調」を「取調べ」に改め、同条に第一項として次の一項を加える。
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〈改正前〉 第四百四十五条 再審の請求を受けた裁判所は、必要があるときは、合議体の構成員に再審の請求の理由について、事実の取調をさせ、又は地方裁判所、家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官にこれを嘱託することができる。この場合には、受命裁判官及び受託裁判官は、裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。 |
〈改正後〉 第四百四十五条 審判開始の決定をした裁判所は、必要があるときは、合議体の構成員に再審の請求の理由について、事実の取調べをさせ、又は地方裁判所、家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官にこれを嘱託することができる。この場合には、受命裁判官及び受託裁判官は、裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。 |
第四百四十五条に次の一項を加える。
再審の請求をした者(検察官を除く。以下「再審請求者」という。)、弁護人又は検察官は、審判開始の決定をした裁判所に対し、事実の取調べを請求することができる。
⑵ 証拠提出命令
第四百四十五条の二 審判開始の決定をした裁判所は、再審の請求の理由に関連すると認められる証拠について、その関連性の程度その他の当該再審の請求についての裁判をするために提出を受けることの必要性の程度並びにその提出を受けた場合に生じるおそれのある弊害の内容及び程度を考慮し、相当と認めるときは、再審請求者若しくは弁護人の請求により又は職権で、決定で、検察官に対し、当該証拠の提出を命じなければならない。
▶請求の理由と関連する証拠に限る理由(国務大臣平口答弁)
再審請求審は、裁判所が再審請求者の主張する再審請求理由について審理、判断する手続です。
したがって、証拠の提出命令の対象となる証拠は、その審理、判断に資する証拠、すなわち、再審請求理由に関連すると認められるものとすることが合理的です。
また、裁判所において、再審請求理由と関係のない証拠について提出命令の要否を判断することは困難であると考えられます。
そこで、本法律案においては、再審の請求の理由に関連すると認められる証拠を証拠の提出命令制度の対象とすることとしています。
▶これまでの実務運用よりも証拠の範囲が狭まることは想定されていない(同上)
証拠の提出命令制度は、裁判所による証拠の提出、開示の勧告や検察官による任意の証拠の提出、開示という従来の実務運用を否定するものではなく、これに加えて、一定の場合に、裁判所に対して、検察官に証拠の提出を命ずる義務を課するものです。
さらに、本法律案においては、再審請求理由に関連すると認める証拠の範囲が不当に狭くならないように留意されなければならない旨の規定を設けることとしています。
したがって、本法律案により、これまでの実務運用よりも提出される証拠の範囲が狭まるようなことはないと考えています。
改正法として成立した場合には、これらの趣旨等を関係機関に適切に周知してまいります。
cf.附則4条1項
▶「関連する」とは?(平口答弁051)
関連するとは、裁判所による再審請求理由についての判断に資するという意味であり、相当の広がりを持つものです。
➁ 裁判所は、前項の決定又は同項の請求を却下する決定をするには、検察官の意見を聴かなければならない。
③ 第一項の決定又は同項の請求を却下する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
⑶ 証拠又は証拠一覧表の提示命令
第四百四十五条の三 裁判所は、前条第一項の決定をするか否かの判断をするに当たり、必要があると認めるときは、検察官に対し、当該判断の対象となる証拠の提示を命ずることができる。この場合において、当該証拠の全部又は一部が電磁的記録であるときは、当該電磁的記録については、その内容を表示したものを閲覧し、又はその内容を再生したものを視聴する方法により、提示を受けるものとする。
➁ 裁判所は、前条第一項の決定をするか否かの判断をするに当たり、必要があると認めるときは、検察官に対し、その保管する証拠であつて、裁判所の指定する範囲に属するものの標目の一覧表を提示することを命ずることができる。この場合において、検察官が当該一覧表を電磁的記録をもつて作成したときは、当該一覧表については、その内容を表示したものを閲覧する方法により、提示を受けるものとする。
③ 前二項の場合においては、裁判所は、何人にも、第一項の証拠又は前項の一覧表の閲覧又は謄写をさせることができない。
④ 前三項の規定は、前条第三項の即時抗告が係属する抗告裁判所について準用する。
⑷ 複製等の適正管理
第四百四十五条の四 弁護人は、再審の請求の手続において、裁判所が審判開始の決定をした後に検察官から提出を受けた証拠を謄写したときは、その証拠に係る複製等を適正に管理し、その保管をみだりに他人に委ねてはならない。
⑸ 複製等の目的外使用の禁止
第四百四十五条の五 再審請求者、弁護人又は弁護人であつた者は、前条に規定する証拠に係る複製等を、次に掲げる手続又はその準備に使用する目的以外の目的で、人に交付し、又は提示し、若しくは電気通信回線を通じて提供してはならない。
▶意義(上記平口答弁)
謄写した証拠の複製等を再審の手続やその準備等に使用することはもとより許される上、証拠の概要を口頭で伝達するなどの行為は禁止されません。
一 当該再審の請求に係る事件についての再審の請求の手続
二 前号に掲げる手続において再審開始の決定が確定した場合における被告事件の審理その他の当該被告事件に係る裁判のための審理及び当該被告事件に関する第二百八十一条の四第一項第二号に掲げる手続(同号ホに掲げるものを除く。)
➁ 前項の規定に違反した場合の措置については、再審請求者の再審の請求に係る利益又は再審における被告人の防御権を踏まえ、複製等の内容、行為の目的及び態様、関係人の名誉又はその私生活若しくは業務の平穏が害されているかどうか、当該複製等に係る証拠が公判期日において取り調べられたものであるかどうか、その取調べの方法その他の事情を考慮するものとする。
⑹ 目的外使用の罪
第四百四十五条の六 再審請求者が、第四百四十五条の四に規定する証拠に係る複製等を、前条第一項各号に掲げる手続又はその準備に使用する目的以外の目的で、人に交付し、又は提示し、若しくは電気通信回線を通じて提供したときは、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
➁ 弁護人又は弁護人であつた者が、第四百四十五条の四に規定する証拠に係る複製等を、対価として財産上の利益その他の利益を得る目的で、人に交付し、又は提示し、若しくは電気通信回線を通じて提供したときも、前項と同様とする。
⇨弁護人が罰せられるのは、「対価として利益を得る目的」がある場合に限る。
弁護人等が証拠の複製等をマスコミ等に提供したとしても、その全てが処罰の対象となるわけではありません。(平口答弁056)
⑺ 再審請求についての意見聴取、審理終結日の指定・通知
第四百四十五条の七 審判開始の決定をした裁判所は、審理を終結するまでに、再審の請求について、再審請求者(再審請求者が第四百三十九条第一項第三号に掲げる者である場合にあつては、再審請求者及び有罪の言渡しを受けた者)、弁護人及び検察官の意見を聴かなければならない。
➁ 審判開始の決定をした裁判所は、審理を終結するには、審理を終結する日(以下この条において「審理終結日」という。)を定めなければならない。この場合においては、あらかじめ、審理の終結について、再審請求者又は弁護人及び検察官の意見を聴かなければならない。
③ 審判開始の決定をした裁判所は、再審請求者、弁護人若しくは検察官の請求により、又は職権で、審理終結日を変更することができる。
④ 審理終結日を変更するには、裁判所の規則の定めるところにより、あらかじめ、再審請求者又は弁護人及び検察官の意見を聴かなければならない。ただし、急速を要する場合は、この限りでない。
⑤ 審理終結日は、再審請求者、弁護人及び検察官に通知しなければならない。
⑻ 決定日の指定・通知
第四百四十五条の八 審判開始の決定をした裁判所は、審理を終結したときは、速やかに、再審の請求について決定をする日(以下この条において「決定日」という。)を定めなければならない。
➁ 審判開始の決定をした裁判所は、決定日を変更することができる。
③ 前条第五項の規定は、決定日について準用する。
第四百四十五条の九 審判開始の決定をした裁判所は、適当と認めるときは、再審請求者、弁護人若しくは検察官の請求により、又は職権で、決定で、終結した審理を再開することができる。
⑼ 再審請求手続の受継
第四百四十五条の十 審判開始の決定があつた場合において、再審請求者が死亡したときは、再審の請求の手続は、中断する。この場合において、第四百三十九条第一項第二号から第四号までに掲げる者は、その手続を受け継ぐことができる。
▶趣旨(平口答弁056)
現行制度の下では、再審請求審の係属中に再審請求者が死亡した場合、再審請求手続は当然に終了することとされています。
もっとも、他の再審請求権者が再審請求の意思を有している場合には、その者に新たに再審請求をさせるよりも、手続を引き継がせて、それまでの成果を利用して手続を続行することを認める方が、再審請求手続の円滑化、迅速化等に資すると考えられます。
そこで、本法律案においては、審判開始決定があった場合において、再審請求者が死亡したときは、再審請求手続は中断することとした上で、他の再審請求権者は、当該死亡の日から一か月以内に申立てをしたときは、その手続を受け継ぐことができることとしています。
➁ 前項後段の規定による受継の申立ては、再審請求者の死亡の日から一月以内にしなければならない。
③ 第一項の規定による中断があつたときは、即時抗告又は第四百三十三条第一項の抗告の提起期間は、進行を停止する。この場合においては、第一項後段の規定による受継があつた時から、新たに全期間の進行を始める。
④ 第二項の期間内に同項の申立てがないときは、審判開始の決定をした裁判所は、決定で再審の請求を棄却しなければならない。
⑽ 446条以下の改正内容
| 改正前 | 改正後 |
| 第四百四十六条 再審の請求が法令上の方式に違反し、又は請求権の消滅後にされたものであるときは、決定でこれを棄却しなければならない。 | 第四百四十六条 審判開始の決定をした裁判所は、審理の結果、再審の請求が法令上の方式に違反し、又は請求権の消滅後にされたものであることが判明したときは、決定でこれを棄却しなければならない。 |
| 第四百四十七条 再審の請求が理由のないときは、決定でこれを棄却しなければならない。 ② 前項の決定があつたときは、何人も、同一の理由によつては、更に再審の請求をすることはできない。 |
第四百四十七条 審判開始の決定をした裁判所は、審理の結果、再審の請求が理由のないものであると認めるときは、決定でこれを棄却しなければならない。 ② 前項の規定による決定があつたときは、何人も、同一の理由によつては、更に再審の請求をすることはできない。 |
| 第四百四十八条 再審の請求が理由のあるときは、再審開始の決定をしなければならない。 ② 再審開始の決定をしたときは、決定で刑の執行を停止することができる。 |
第四百四十八条 審判開始の決定をした裁判所は、審理の結果、再審の請求が理由のあるものであると認めるときは、再審開始の決定をしなければならない。 ② 前項の規定による決定をしたときは、決定で刑の執行を停止することができる。 |
| 第四百五十条 第四百四十六条、第四百四十七条第一項、第四百四十八条第一項又は前条第一項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 | 第四百五十条 第四百四十四条の二第二項(第一号に係る部分に限る。)、第四百四十六条、第四百四十七条第一項、第四百四十八条第一項又は前条第一項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。 |
⑾ 再審開始決定に対する検察官の不服申立ての原則禁止
第四百五十条の二 第四百四十八条第一項の規定による決定〔注:再審開始決定〕に対しては、当該決定が取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠がある場合に限り、即時抗告をすることができる。
▶附則から本文へ
上記谷川発言:
原則禁止規定をどう設けるかについても、法務省の当初の修正案では本法律案の附則に置くこととされていたところ、最終的に、刑事訴訟法の本則の規定を削除した上で、例外規定を書き起こして規定することとされました。
▶原則禁止の趣旨
平口洋(国務大臣)の答弁:
近時、再審開始決定に対する検察官の不服申立てについて、機械的、形式的に行われており、再審手続の長期化の原因となっているといった指摘がされています。
もっとも、再審開始決定に対する検察官の不服申立てを全面的に禁止することは、三審制の下で確定した有罪判決について、一回限りの判断で常にやり直すこととなり、裁判の紛争解決機能が損なわれる、あるいは、裁判所による慎重、適正な判断の制度的担保が失われるなどの課題があり、相当でないと考えています。
これらのことを踏まえ、本法律案においては、再審開始決定に対する検察官の不服申立てのより慎重で抑制的な運用を確保するため、再審開始決定に対する検察官の不服申立てを原則として禁止し、当該決定が取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠がある場合に限って不服申立てができることとしています。
➁ 前項の即時抗告を棄却する決定又は前条の即時抗告(第四百四十六条又は第四百四十七条第一項の規定による決定に対するものに限る。)が係属する抗告裁判所の第四百四十八条第一項の規定による決定に対する第四百三十三条第一項の抗告は、当該決定が取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠がある場合に限り、これをすることができる。
③ 政府は、次の各号のいずれかに該当するときは、遅滞なく、当該各号に定める事項を公表するものとする。
一 第四百四十八条第一項の規定による決定(最高裁判所がしたものを除く。)があつたとき その旨並びに検察官が当該決定に対する即時抗告又は第四百三十三条第
一項の抗告をしたかどうか及び当該即時抗告又は抗告をした場合におけるその理由
二 第一項の即時抗告を棄却する決定があつたとき その旨並びに検察官が当該決定に対する第四百三十三条第一項の抗告をしたかどうか及び当該抗告をした場合におけるその理由
▶不服申立ての理由公表の趣旨
上記平口答弁:
これにより、検察官が不服申立てをした場合には、その都度、十分な根拠の有無について国民のチェックを受けることとなります。
第四百五十条の三 第四百四十七条第一項〔注:請求棄却決定〕又は第四百四十八条第一項〔注:再審開始決定〕の規定による決定に対する即時抗告の提起期間は、第四百二十二条の規定にかかわらず、十四日とする。
➁ 前項の即時抗告に係る抗告裁判所の決定に対する第四百三十三条第一項の抗告の提起期間は、同条第二項の規定にかかわらず、十四日とする。
⑿ 調査の結果に基づく決定に対する即時抗告
第四百五十条の四 第四百四十四条の二第二項(第三号に係る部分を除く。)の規定による決定に対する即時抗告が係属する抗告裁判所は、当該即時抗告について調査しなければならない。
➁ 前項の抗告裁判所は、第四十三条第三項の規定にかかわらず、事実の取調べをすることができない。
③ 第一項の即時抗告が理由のあるときは、第四百二十六条第二項の規定にかかわらず、決定で、原決定を取り消して、事件を再審の請求を受けた裁判所に差し戻さなければならない。
④ 前三項の規定は、第一項の即時抗告に係る抗告裁判所の決定に対する第四百三十三条第一項の抗告が係属する抗告裁判所について準用する。
第四百五十条の五 第四百四十五条第二項及び第三項、第四百四十五条の二、第四百四十五条の三、第四百四十五条の七(第一項を除く。)から第四百四十五条の九まで、第四百四十五条の十第四項並びに第四百四十六条から第四百四十八条までの規定は、第四百四十六条、第四百四十七条第一項又は第四百四十八条第一項の規定による決定に対する即時抗告が係属する抗告裁判所について準用する。この場合において、第四百四十五条の八第一項中「再審の請求」とあるのは、「即時抗告」と読み替えるものとする。
➁ 第四百四十五条第二項及び第三項、第四百四十五条の二第一項及び第二項、第四百四十五条の三第一項から第三項まで、第四百四十五条の十第四項並びに第四百四十六条から第四百四十八条までの規定は、前項の即時抗告に係る抗告裁判所の決定に対する第四百三十三条第一項の抗告が係属する抗告裁判所について準用する。
(中略)
5 附則
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 附則第三条、第十五条及び第十六条の規定 公布の日
二 第一条の規定並びに附則第五条及び第六条の規定 公布の日から起算して二十日を経過した日
三 第二条中刑事訴訟法第百八十八条の二、第百八十八条の三、第百八十八条の六及び第百八十八条の七の改正規定並びに附則第七条の規定 公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日
(検討)
第二条 政府は、この法律の施行後五年ごとに、この法律による改正後の規定の施行の状況等を勘案し、再審の請求の手続における証拠の目的外使用の禁止に関する制度及び検察官が保管する証拠の一覧表に関する制度その他の再審の制度の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
(再審の請求の手続の迅速化等)
第三条 再審の請求の手続については、近年における再審の手続に関する諸事情に鑑み、裁判の迅速化に関する法律(平成十五年法律第百七号)第二条第一項の目標が実現されるよう、適正かつ迅速に行われなければならない。
2 再審の請求をした者(検察官を除く。)、弁護人及び検察官は、再審の請求の手続が迅速に行われるよう、裁判所に進んで協力しなければならない。
(証拠の提出命令による証拠の提出の在り方等)
第四条 近年における再審の手続に関する諸事情に鑑み、第二条の規定(附則第一条第三号に掲げる改正規定を除く。附則第六条第一項に同じ。)による改正後の刑事訴訟法(以下「第二条改正後刑事訴訟法」という。)第四百四十五条の二第一項の規定による決定については、再審の請求の理由に関連すると認める証拠の範囲が不当に狭くならないように留意されなければならない。
2 近年における再審の手続に関する諸事情に鑑み、従来行われてきた再審の請求の手続における運用上の措置としての裁判所による検察官に対する勧告であって任意での証拠の提出又は開示に係るもの及び検察官による任意での証拠の提出又は開示は、事案に応じ、適切に行うものとする。
(再審開始の決定に対する不服申立て等に係る審理期間)
第五条 近年における再審の手続に関する諸事情に鑑み、再審開始の決定に対する不服申立てであって附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日(以下この条及び次条において「第二号施行日」という。)以後にされたもの又は当該決定に対する不服申立てに係る裁判所の決定に対する不服申立てであって第二号施行日以後にされたものについては、それぞれ事件が受理された日から一年以内にその係属する裁判所の決定がされるように努めなければならない。
(以下略)
▶附則については、衆議院で修正があった。(衆議院法務委員会。R8/5/26付託。R8/6/12議決。)

改正に至る経緯
1 議員立法の動き
2024年3月 再審法改正に向け超党派の国会議員連盟結成
2025年2月 議員立法の提出を決める
2025年6月 議員立法の提出
2 法務省の動き
2025年2月 諮問
2025年4月 法制審議会での審議開始(~2026年2月2日まで18回開催)
2026年2月2日 法制審議会が法務省が示した要綱案を賛成多数で取りまとめる
▶2月2日付けのニュース(朝日新聞:再審見直し、法制審案まとまる 弁護士ら「冤罪救済を軽視」と反対)
法務省は4月にも政府法案を閣議決定する方針だが、その内容は今後の与党審査や国会審議で修正される可能性がある。
2026年2月12日 法制審議会が要綱を平口洋法相に答申
▶2月2日付けのニュース(日経新聞:再審見直し法制審答申、法案提出へ 証拠開示範囲など与党内にも異論)
法務省は18日召集予定の次の国会への法案提出を目指す。

2026年3月下旬~ 自民党内で会合が開かれ、政府案への反対の声が出る(自民党法務部会・司法制度調査会合同会議)
▶3月30日付けニュース(NHK「再審制度見直しに向け 政府は4月にも法改正案を国会提出へ」)
自民党内では柴山・元文部科学大臣が「再審の手続きが長引く端緒が検察官による不服申し立てであることは紛れもない事実だ」と述べるなど、一部の議員が政府案に盛り込まれていない、再審開始の決定に対する検察による不服申し立てを禁止する規定を設けるよう強く主張しています。
▶4月3日ニュース(日テレNEWS〔YouTube〕【再審制度の改正案を巡り】自民党内で異論相次ぐ 再審開始決定への検察官の不服申し立てを禁止しない内容に)

2026年4月9日 政府が法案の見直す方向で調整に入る
▶時事通信「再審見直し、来週にも修正案 政府、異例の国会提出先送り」
政府は9日、再審制度見直しのための刑事訴訟法改正案について、自民党内の異論を踏まえた修正案を来週中にも同党に提示する方向で調整に入った。週内に予定していた国会提出は先送りした。再審開始決定に対する検察官の不服申し立て(抗告)に一定の制限を設ける修正を検討しているが、同党の了承を得られるかは不透明だ。
2026年4月14日 修正案を自民党に提示することが明らかに
▶朝日新聞「再審見直し、全9項目の修正案が判明 自民に提示へ、実効性は不透明」
刑事裁判をやり直す再審制度見直しのための刑事訴訟法改正案について、政府がまとめた修正案の全容が判明した。15日の自民党会合で示す。再審開始決定に対する検察の不服申し立て(抗告)を禁止しない一方、裁判所が抗告の是非を審理する期間を「1年以内」に制限するなど、9項目の修正を法案の付則に盛り込んだ。
⇨9項目の修正案が附則に盛り込まれることに。
2026年5月14日 修正案を自民党が了承
▶自民党HP「【再審制度、戦後初の見直しへ】刑事訴訟法改正案を党内了承」
5月14日、わが党は再審制度を見直す刑事訴訟法改正案を了承しました。
…当初案では見直し規定がありませんでしたが、党内議論を重ねた結果、現行法で検察官による不服申し立てを認めている規定を削除。
その上で、「再審開始決定が取り消されるべき十分な根拠がある場合」に限り、高裁・最高裁への不服申し立てを可能とする新たな例外規定を設け、「原則禁止」を本則に明記する形となりました。
また、政府には、検察官抗告を行った場合、その理由等を遅滞なく公表する規定も盛り込まれました。
さらに、法務省案では当初、再審請求を早期に選別する手続き(スクリーニング規定)が設けられていましたが、「必要な審理まで門前払いにつながりかねない」との懸念が相次ぎ、議論を経て棄却要件は削除されました。
加えて、審理の迅速化に向け、再審開始決定に対する不服申し立ての是非について、裁判所が「1年以内」を目途に審理を行うことを付則に明記。
あわせて、改正法施行後の見直しについても、「5年後」ではなく「5年ごと」に検討を行い、必要な措置を講ずるとの規定が新設されました。
2026年5月15日 閣議決定⇨国会に法案提出
▶TBS「【速報】再審制度見直しの刑事訴訟法改正案を国会に提出」
2026年6月16日 衆議院通過
▶日経「再審制度の見直し法案、衆院通過 検察側の証拠開示を義務化」
2026年7月17日 参院通過⇨成立