平和主義者フロイトが目指す平和を実現すると、人類滅亡
『ひとはなぜ戦争をするのか』
でフロイトが語った理想は一見正しそうである。
↓でまとめています。
https://abidal.hatenablog.com/entry/2019/02/03/222507
ただ、完璧な実現は(もちろんありえないが)
逆に人類滅亡につながる。というのが面白い!
◉戦争をなくす方法
①戦争により世界規模の中央集権的権力を作り上げて、利害対立が起きると、この機関に解決を委ねる。
②文化の発展による心の変化を起こす。
(非常にかいつまんでまとめています。)
~~~~~~~~~~~~~~~~
①の場合
世界規模の戦争を起こす必要がある。
ここで、アインシュタインの名言を紹介。
「第三次世界大戦がどのように行われるかは私にはわからない。だが、第四次世界大戦が起こるとすれば、その時に人類が用いる武器は石とこん棒だろう」
つまり、人類のほとんどが滅び、文明が破壊される、と言っているのである。
また、アイゼンハワーは
「第三次世界大戦に勝つ唯一の方法は、それ(第三次世界大戦)を防ぐことだ」
という言葉を残している。
つまり、
次の戦争は人類の危機に繋がる。
~~~~~~~~~~~~~~~~
続いて②の場合
文化の発展による心の変化を起こす。
◉文化の発展による心の変化とは何か?
1.文化の発展が知性を強める。
2.攻撃本能を内に向ける。
この心の変化は戦争に抗う要素です。
「攻撃本能を内に向ける」は戦争に抗う要素となるのは分かりやすいです。
◉なぜ知性が高まると戦争に抗う要素となるか?
知性が高まると攻撃欲動をコントロールできるからです。
ーーーここからが本題!ーーーーー
この方法が逆に、人類滅亡に繋がることを説明したいと思います。
文化が発展→攻撃本能が内に向く
◉攻撃本能の向きとは?
フロイト曰く、
攻撃本能の向きは2方向あります。
「外向き」と「内向き」です。
◉攻撃本能が内に向くとはどういうことか?
フロイトは例として、「良心」をあげています。
他の例をあげるなら、「自制心」でしょう。
◉極論は人類滅亡
つまり、文化の発展が最大になったとき、
攻撃本能が全て内に向くということです。
これが意味することは、「死」
フロイトはこう言っています。
“攻撃性の内面化が過ぎれば、ゆゆしき問題となります。”
◉文化の発展の行き着くところはやはり、人類滅亡
再び、フロイトを引用
“文化が発展していくと、人類が消滅する危険性があります。なぜなら、文化の発展のために、人間の性的な機能がさまざまな形で損なわれてきているからです。今日ですら、文化の洗礼を受けていない人種、文化の発展に取り残された人たちが急激に人口を増加させているのに対し、文化を発展させた人々は子どもを産まなくなってきています。文化が発展していけば、肉体レベルの変化が引き起こされると思われるのです。”
(講談社学術文庫『ひとはなぜ戦争をするのか』)
フロイトの意見以外にも、文化の発展により人類が消滅する可能性は論じられそうです。
例えば、AI、シンギュラリティ、地球温暖化(個人的にはこの意見には消極的)、ウイルス、などなど
まだまだありそうです。
(勿論、単純な比例関係ではありません。)
◉まとめ
完全な平和が訪れたとき、そこに人間はもういない。